確かな味を焙り出す中目黒ロースター、生豆珈琲焙煎香房「グラーノ」 2012.12.14
忘年会シーズン突入ですね。
連日飲み過ぎ&しゃべり過ぎで寝不足気味の皆さん、目の覚めるような香り豊かなコーヒーでリフレッシュしませんか?
来る仕事納めの日まで、もう一踏ん張り!
今回は目黒銀座商店街の中程にある、生豆珈琲焙煎香房「グラーノ」さんにお邪魔しました。
こちらは生の豆をその場でローストして販売する、本格焙煎のお店。
店内には席もあるので、その場でコーヒーをいただくこともできます。
煎りたて、挽きたての美味しいコーヒーを求める、違いの分かるコーヒーラバー御用達のお店です。
お店に入ってすぐ目に飛び込んでくるのは樽に盛られた30種類ほどの生豆(きまめ)達。
これが焙煎前のコーヒー豆。
まるで大豆のような色合い。とてもコーヒーには見えませんよね。
早速オーナーの永田さんにお話をうかがいました。
永田さん
「グラーノ」はオープン8年目。
最初は駅前だったんですが、道路拡張工事の影響で2年前にこちらに移転しました。
お店の特徴はお客様が豆を選び、量と焙煎具合を注文してもらい、高速焙煎機(ロースター)でその場ですぐに焙煎して、好みの飲み方に合わせて挽いてお渡しするスタイル。
もちろん、それぞれの豆に適した焙煎のアドバイスも差し上げます。
ここのところ一気に拡がったコーヒーチェーンとはまた違った本格派な雰囲気のグラーノのバックグラウンドを永田さんの経歴を通じてうかがいました。
永田さん
僕は8年前にリタイヤして、このお店をスタートしたんだけれど、それまで40年勤めていたのが横浜発祥のコーヒーロースター。
そこの工場長を親父がやっていたものだから、物心付く前から焙煎現場に行って遊んでたみたい。
だから、もうコーヒーとは切っても切れない関係だし、根っからののコーヒーライフなんだよね。
それって、翼くんとサッカーボールの間柄じゃないですか!
と心の中でツッコミながら、さらに永田さんのお話をうかがいます。
永田さん
工場では、600キロとか、1トンとかっていう量を焙煎をしてたんだけど、とにかく大きな機械でね。
それが、小さい分量でも焙煎できる機械が少しずつ世の中に出るようになって、現役の時に何件かそういう機械を小規模な店舗に紹介することに携わったんですよ。
で、これなら1人1人の好みに合わせた焙煎で喜んでもらえるようなお店ができるかな、と。
リタイヤ後の生活を考えた時に、コーヒーと離れる生活が想像出来なかったっていうのもあるし、たまたまよい物件にも出会ったし、
それで母さんと一緒にのんびりやってみようと。
いつの間にか永田さん奥様からウェルカムコーヒーがテーブルに。
お二人のあうんの呼吸に感動しつつ、甘みのある酸味とまろやかなボディのコーヒーを堪能。
ロイヤル・キャメル(今、一押しのブレンド)
やっぱり美味いコーヒーって、大人の贅沢ですよね。涙
永田さん
お店をはじめた頃は、こういったスタイル(焙煎をお店でできる)はまだまだめずらしかった頃でね。
今でこそ、いろんな所に増えてきたけど。
丁度お店をオープンした頃に“CASA BRUTUS”に掲載してもらったら、遠くは青森から来ました!なんてお客様もいてそこまで好きな人がいるんだな~、と改めて驚いたね。
あと、お店始めてからすごく感じたのは、お客様の要望の多様さ。
ある時、勤めてたころじゃ考えられないくらいプアロースト(超浅煎り)を希望する方がいらしてね。
えっ、こんな焼き方でいいの?
これほとんど生だよ!
っていうくらいで。
自分としてもプロである以上これを売ってしまっていいのかな?っていうくらいのプアローストだもんだから、びっくりしちゃって。
挽いたら、ほとんど“きな粉”みたいでね。
で、勉強の為に飲ませてもらったら、ミントガム食べてるみたいに口の中がスースーするの。
聞いたら、2、3日スタジオに篭って寝ずに仕事しなきゃならない人だとかで。
で、わかったんだよね。
豆って焼けば焼くほど熱でカフェインが飛んでいくものだから、あえてあまり焼かずにカフェインの強いものを好む人もいるんだなーと。
中目黒新聞
うわー、奥が深そうですね。焙煎具合によって酸味やコクが変わるんですよね。
すいません、私コーヒーを焙煎から注文したことがなくて、、初心者にオススメのコーヒーってありますでしょうか?
永田さん
そうですね。コーヒーってお客様が日頃何を食べているのか、どのタイミングで飲むものなのか、っていう事でまったくオススメが変わってくるんですね。
例えば、朝。起きたてで、パン食がメインの軽い朝食の方には、軽めでたっぷり飲める
【カサブランカ】。
焙煎は浅く焼くことで、重みを押さえてゴクゴク飲めるくらいにしてもいいよね。
それが夜になって、身体も疲れてるからご飯も味の濃いもので、鍋だったり肉だったりを食べた後には、味のしっかりした深みのあるコーヒーが合う。
例えば【モカ】。
モカを中煎りや深煎りして、ダークでボディがしっかりしているものを飲むとちょうどいい具合なんじゃないかな。
中目黒新聞
なるほどー。状況に合わせて豆と焙煎具合をチョイスしていくんですね。
でもこれだけ沢山の種類があると迷ってしまいますね。
永田さん
最近は豆の質がドンドン上がって来ていてね。
さっき話してた【カサブランカ】は
《カップオブエクセレンス》を受賞した農園の豆。
この《カップオブエクセレンス》っていう仕組みは、ここ10年くらいで生まれたもので、その年に収穫されたコーヒーの中から最高品質のもののみに与えられる称号。
中南米を中心に各国で行われてきてるものでね。
各国の全生産量の中でも、数%の豆にしか称号が授与されない、スペシャルな豆だから、味は保証済み。
そもそも、《カップオブエクセレンス》が生まれた理由として、生産者を守るっていう意味合いも含まれていてね。
ある時期から世界中でコーヒーが飲まれるようになって、生産者がどんどん豆をつくり過ぎてしまった結果、需要と供給のバランスが崩れるように。
豆が余ることが出てきて、それを理由に買い叩く業者も増えて、生産者にお金が入らず、さまざまな国で雇用のバランスに支障が出るようになってしまって。
しまいには家族を養っていけない農園も出てきて、地域の治安の悪化に繋がったり。
そういった状況を改善するためにも、《カップオブエクセレンス》のような仕組みをつくる事で、良質な生産者の頑張りを“味”という点で、正当に評価してあげることを通じて、農園の知名度を上げ、ブランド力が付いてくる。
で、本当においしいコーヒーを飲みたい人達が、値段を競いあう。
生産者にも、愛飲者にも良く出来た仕組みなんだよね。
《フェアトレード》で豆を買うのと、同じような意味合いもあるんですよ。
中目黒新聞
そうですかー、ではここにある豆たちは選びに選ばれた豆なんですね。
そうやってお話を聞くと、気のせいか豆がキラキラ輝いて見えてきますよー。
「グラーノ」さんも、生産者を支援するために《カップオブエクセレンス》の農園の豆を?
永田さん
うん、もちろんそれもあるけど、うちが選ぶ一番の理由は美味しいから。笑
とにかく美味しいものをお客様に提供したいからなんです。
中目黒新聞
さすがですね。
ふむふむ、せっかくなので今日は1つ焙煎のご注文をしてもよろしいでしょうか。
永田さん
じゃあ、今日はうちのイチ押し、さっき飲んでもらった【ロイヤルキャメル】を200g試してみてよ。
これはカリビアン・ブレンドで、香りもいいし、甘み・コクもあるバランスの取れた味だから。
中目黒新聞
はい、ぜひ! (ワクワク)
慣れた手つきで豆の分量を量り始める永田さん。
そしてこれが高速焙煎機。
メカっぽい物みると、妙にテンション上がってしまうーーー。
ていうか、なかなかにデカイです!
慣れた手つきでサッと、マシンのサイドから豆を投入する永田さん。
ピピピっと、マシンに焙煎の設定をする永田さん。
なんだか、鉄人28号を操る金田くんみたい!!(えっ、知らない!?w)
スタートボタンを押すと、豆たちが大きな音とともに釜の中で踊りはじめましたよーーー。
永田さん
うちのロースターは、下の釜で焼きながら、上から熱い熱風焙煎機能も付いてるから、高速で豆を焙煎出来るんです。
おおっ!みるみるうちに、香ばしい香り立ち上がり、見慣れたコーヒー色に変わっていくー!!
しばらく永田さんとおしゃべりを楽しんでいると、ロースターの回転が止まり、焙煎終了。
軽やかにザルへと移し替える永田さん。
湯気が立ちのぼる豆の具合をたしかめる永田さん。
し、し、渋い!!
まるで、お腹の中から出て来たばかりの赤子を撫でるように、愛おしそうに豆たちをかわいがる姿。
NO COFFE,
NO LIFE.
まさに生粋のコーヒーライフ!!
永田さん
飲み方はどうします?
中目黒新聞
ん?? あっ、ペーパードリップ用でお願い致します!
自動ミル機を使ってオススメの具合に挽いていただきます。
永田さん
はい、完成!
きっと美味しいと思うから、ぜひ味わってみてね。
中目黒新聞
うわー、ありがとうございます!!
すごい、袋がホカホカッ。
これで年末までの仕事に立ち向かえます!
ありがとうございました。
お店は火曜日/水曜日がお休みとのこと。
これからは春休みと夏休みもつくってのんびり営業したいと考えられているようです。
中目黒のコーヒーラバーの皆様、焙煎の豆を買うのはもちろん、仕事の合間に香り豊かな世界のコーヒーをじっくり堪能されてはいかがでしょうか?
(も)
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生豆珈琲焙煎香房 グラーノ
住所:東京都目黒区上目黒2-17-16
電話:03-3719-3594
営業時間:11:00〜19:30(L.O.)
定休日:火曜日・水曜日
